「年金は実際いくらもらえるのか」が気になっている人は多いのではないでしょうか。
老後の生活を考えるうえで、公的年金は最も重要な収入源の一つです。ただし、年金額は一律ではありません。自営業やフリーランスなどが中心の国民年金と、会社員や公務員などが加入する厚生年金では、受け取れる金額に差が出やすいからです。厚生労働省の令和6年度「厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、国民年金の老齢年金受給者の平均年金月額は約5万9千円とされています。
一方、日本年金機構が公表している令和7年度の年金額では、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は月23万2,784円です。ただし、これは「平均的な収入で40年間就業した会社員夫婦モデル」の金額であり、すべての人がこの水準になるわけではありません。
さらに、総務省の家計調査では、2024年の高齢夫婦無職世帯の実収入は月25万2,818円、消費支出は月25万6,521円、高齢単身無職世帯の実収入は月13万4,116円、消費支出は月14万9,286円でした。平均で見ると、年金やそのほかの収入を含めても、老後生活に大きな余裕があるとは言いにくい状況です。
この記事では、
・国民年金と厚生年金の平均受給額
・夫婦世帯と単身世帯の生活実態
・年金だけで生活できるのか
・不足分をどう考えるべきか
をわかりやすく解説します。
- 国民年金の平均は約5万9千円
- 厚生年金の標準モデルは月23万2,784円
- 生活費とのバランスまで見ないと実態はわからない
・国民年金と厚生年金の違い
・平均受給額の目安
・夫婦と独身の年金生活の実態
・年金だけで足りるかどうかの考え方
・老後資金を考えるうえで見るべきポイント
この記事では次の内容を解説します。
国民年金と厚生年金の違い
年金の平均額を理解するには、まず国民年金と厚生年金の違いを押さえておくことが大切です。
国民年金は、自営業、フリーランス、学生、無職の人などが加入する基礎年金です。老後に受け取るのは主に老齢基礎年金で、保険料は原則として定額です。そのため、受給額も厚生年金に比べると少なくなりやすい傾向があります。厚生労働省の令和6年度概況では、国民年金の老齢年金受給者の平均年金月額は約5万9千円でした。
一方、厚生年金は、会社員や公務員などが加入する制度で、老齢基礎年金に上乗せして受け取る仕組みです。給与水準や加入期間によって受給額が変わるため、国民年金だけの人よりも年金額が高くなりやすいのが特徴です。日本年金機構が公表する「標準的な年金額」は、この厚生年金の性格をわかりやすく示しています。
つまり、同じ「年金生活」といっても、どの制度にどれくらい加入していたかで、老後の家計の前提条件はかなり違ってきます。
| 国民年金 | 厚生年金 |
|---|---|
| 主に自営業、フリーランス、学生、無職の人などが加入 | 主に会社員や公務員などが加入 |
| 主に老齢基礎年金:保険料は原則として定額 | 給与水準や加入期間によって受給額が変わる |
| 厚生年金に比べると少ない受給額 | 国民年金だけの人よりは多い受給額 |
国民年金の平均受給額はいくら?
国民年金の平均額は、老後資金を考えるうえで非常に重要な数字です。
厚生労働省の令和6年度概況によると、国民年金の老齢年金受給者の平均年金月額は約5万9千円です。また、同資料では、老齢基礎年金(25年以上)の受給者平均は約6万円、本来受給で約6万1千円、繰上げで約4万6千円、繰下げで約7万7千円という傾向も示されています。つまり、同じ国民年金でも、受け取り方や加入状況によって差が出ます。
この金額を見ると、国民年金だけで老後生活をまかなうのは簡単ではないことがわかります。特に家賃負担がある人や、医療費・介護費への備えが必要な人にとっては、月5万〜6万円台ではかなり厳しいケースが多いでしょう。
そのため、国民年金中心の人ほど、
・生活費をどう抑えるか
・受給開始年齢をどう考えるか
・貯蓄や資産運用をどう組み合わせるか
を早めに整理しておく必要があります。
厚生年金の平均額と「標準的な年金額」
厚生年金については、「平均額」と「標準的な年金額」を混同しないことが大切です。
日本年金機構が公表している令和7年度の年金額では、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は月23万2,784円です。これは、平均標準報酬45.5万円で40年間就業した場合に受け取り始める老齢厚生年金と、2人分の老齢基礎年金(満額)を合わせたモデルです。
23万2,784円は“平均”ではなく“標準モデル額”
ここで注意したいのは、この金額が「厚生年金加入者全体の平均」ではなく、あくまで一定条件の標準モデルだということです。実際には、加入期間が短い人、途中で自営業期間がある人、現役時代の収入が低めだった人などは、この水準より少なくなることがあります。
つまり、ニュースなどで「夫婦の年金は23万円台」と見たときに、それをそのまま自分の年金額だと思い込まないことが大切です。自分の年金見込額は、ねんきんネットなどで個別に確認する必要があります。
必要なら先に確認しておきたい関連記事

夫婦の年金生活の実態
年金額だけを見ても、老後生活の実態は見えてきません。
大切なのは、生活費とのバランスです。
総務省の家計調査によると、2024年の高齢夫婦無職世帯の実収入は月25万2,818円、消費支出は月25万6,521円でした。平均との差額は月3,703円の赤字です。金額だけを見ると小さく感じるかもしれませんが、年間では約4万4千円、20年では約88万円になります。さらに、これはあくまで平均であり、住居費や医療費が重い家庭では赤字幅が大きくなる可能性があります。
ここで大事なのは、「実収入」には年金だけでなく、そのほかの収入も含まれる場合があることです。つまり、平均の実収入が生活費に近いからといって、「年金だけで十分」とは言い切れません。実際には、預貯金の取り崩しや就労収入などでバランスを取っている世帯もあると考えられます。
夫婦世帯では、住居費を共有できる、食費や光熱費の効率が良いといった面がある一方で、2人分の医療費や介護費が発生しうることも考える必要があります。
| 項目 | 高齢夫婦無職世帯 |
|---|---|
| 実収入 | 252,818円 |
| 消費支出 | 256,521円 |
| 収支差 | -3,703円 |
独身の年金生活の実態
独身世帯は、夫婦より総支出は小さいものの、固定費を一人で負担するぶん、生活効率は下がりやすいです。
総務省の家計調査では、2024年の高齢単身無職世帯の実収入は月13万4,116円、消費支出は月14万9,286円で、月1万5,170円の赤字でした。年間にすると約18万円、20年で約360万円、30年で約540万円の不足イメージになります。
独身世帯で不安が大きくなりやすい理由は、家賃、水道光熱費、通信費などが一人でかかることです。食費は夫婦世帯より少なくても、固定費は大きくは減りません。また、将来的な介護や見守りの費用についても、一人で備える必要が出やすいです。
そのため、独身世帯では「生活費が少ないはずだから何とかなる」と考えるよりも、むしろ固定費の重さを前提に資金計画を立てる方が現実的です。
必要なら詳しく確認しておきたい関連記事

| 項目 | 高齢単身無職世帯 |
|---|---|
| 実収入 | 134,116円 |
| 消費支出 | 149,286円 |
| 収支差 | -15,170円 |
年金だけで生活できるのか
結論から言うと、「年金だけで生活できるか」は人によります。
ただし、平均データで見る限り、十分な余裕があるとは言いにくいです。
夫婦でも単身でも、家計調査の平均では実収入と消費支出が近く、単身世帯では赤字幅が大きくなっています。さらに、今後の物価上昇や医療費、介護費、住まいの維持費などを考えると、年金だけで長く安定して生活するには工夫が必要です。
特に注意したいのは、年金生活では支出の中身が変わりやすいことです。若い頃のような教育費や住宅ローンは減っても、代わりに医療費、薬代、住まいの修繕費、介護費などが重くなりやすいからです。
そのため、「平均受給額」だけで安心するのではなく、
・自分の年金見込額
・自分の生活費
・将来増えそうな支出
をまとめて考える必要があります。
年金生活で不足分をどう考える?
年金生活で大切なのは、「年金が多いか少ないか」だけではなく、不足分をどう考えるかです。
考え方はシンプルで、
毎月の生活費 − 毎月の年金見込額 = 毎月の不足額
です。
たとえば、生活費が月18万円で、年金見込額が月14万円なら、不足額は月4万円です。年間48万円、20年で960万円です。不足額が月2万円なら、20年で480万円です。このように、毎月の差額で考えると、老後資金の必要額はかなり具体的に見えてきます。
この不足分を埋める方法としては、
・生活費を見直す
・65歳以降も少し働く
・年金の受け取り方を見直す
・新NISAなどの資産運用を活用する
といった選択肢があります。
まとめ
年金の平均受給額は、厚生年金と国民年金で大きく違います。
厚生労働省の令和6年度概況では、国民年金の老齢年金受給者の平均年金月額は約5万9千円でした。日本年金機構が示す令和7年度の厚生年金の標準的な年金額は月23万2,784円ですが、これは一定条件の夫婦モデル額です。平均額と標準モデル額は意味が違うため、混同しないことが大切です。
また、総務省の家計調査では、2024年の高齢夫婦無職世帯・高齢単身無職世帯ともに、実収入だけで大きな余裕があるとは言いにくい状況でした。特に単身世帯は固定費の負担が重くなりやすく、年金だけでは不足が出るケースも考えやすいです。
大切なのは、
・自分の年金見込額を確認する
・生活費を把握する
・不足額をどう補うか考える
ことです。
関連して読みやすい記事は次の2本です。



コメント